――過去の作品も含めて、先生方が自由にジャンプへ掲載する作品を決められるとしたら、どういうラインナップにされますか?
それは選び甲斐があって面白いですね(笑)。まず影響を受けた作品は絶対に入れたいところですよね。
過去から現在まで、どの作品でもいいんですよね? 難しいなぁ~(笑)。
『包丁人味平(1973年)』好きやったなぁ~。ビッグ錠先生、これは入れたい!
――まずそこからですか!?
僕は『1・2のアッホ!(1975年)』。絶対入れたいですね。
コンタロウ先生! 確かにそれは外せない! あとさっきも散々話したけど望月三起也先生の『ジャパッシュ(1971年)』も入れたいなぁ。あと梶原一騎先生と川崎のぼる先生の『男の条件(1969年)』!
それに中沢啓次先生の『グズ六行進曲(1971年)』もいいですね。中沢先生は『はだしのゲン(1973年)』のイメージが強いので、反戦漫画の人みたいに思われてるところもあると思うんですけど、そうじゃない作品もいっぱい描いてらっしゃるんですよ。毎回ラストページの印象がすごくてね、1週ごとに大満足できる名作でした。
なんか渋い作品ばっかの雑誌になりそうやなぁ(笑)。
――ちょうど先生方が連載されていた80年代あたりの作品だとどうですか?
『キャプテン翼(1981年)』じゃないですか。僕らが散々しのぎを削り合った強敵ですからね、スポーツものの代表としてぜひ入れておきたい。
そういう意味で言うと『北斗の拳(1983年)』もそうですよ。
車田正美先生の作品も要りますね。個人的には『聖闘士星矢(1986年)』より『リングにかけろ(1977年)』の方が好きですね。
あと『こち亀(1976年)』は絶対に外せない。『こち亀』の入ってないジャンプとかありえないでしょう!(笑)
――雑誌としてのトータルバランスもありますもんね。ギャグとシリアスの配分とか、恋愛ものもあった方がいいなとか。90年代あたりだといかがでしょう。
『珍遊記(1990年)』は入れておきたい。
――画太郎先生、お好きなんですか!?
いや、これはもうマネしようと思ってもできないでしょ、唯一無二ですよ(笑)。
ああ~でもそれは僕も入れておきたいですね(笑)。いいと思います。
あとは90年代から選ぶならさっきも話した『SLAM DUNK(1990年)』。これは必須ですね。
――2000年以降から最近の作品群からはいかがですか?
これはもう何度もあちこちで言ってますけど川田君の『火ノ丸相撲(2014年)』、この作品は面白い! 連載開始の第1話を読んだ時から衝撃を受けましたね。
久々に僕らが昔から思い描く「ジャンプ漫画」って感じの作品が出てきたなぁと。しかも連載開始から2年以上経って、今もずっとあのテンションを保ったまま続いてますからね。いいですよ。
それで言えば『トリコ(2008年)』もそうですよね。今のジャンプをざっと見渡してて、島袋さんの絵が入ってるのを見るとすごく安心します。
―かなり幅広いラインナップですね。両先生のジャンプへの愛が伝わってくるようなセレクションだと思います。
だって真剣に僕らジャンプ大好きですから(笑)。そこで育てていただいたというのもありますけどそれ以前に、お世辞抜きで本当にいい少年漫画誌だと思います。
そうですね。改めて思い返しても、少年ジャンプという雑誌そのものが漫画界全体にとってのエポックメイキングでしたよね。
創刊50周年も過ぎましたが、そう断言できるほどの影響力は間違いなく与えてきたし、牽引してきたとも思います。その中に自分たちがいられた…というのは今でもずっと僕にとって、本当に大きな誇りなんですよ。
本当にそうですね。僕らがやってた頃は400万部、500万部とどんどん売り上げが上がっていった時期で、そのお祭りの中にいるのが楽しくて仕方なかったですし。今でも献本で毎週、ジャンプの最新号が僕の仕事場に送られてくるんですけど、開くたびにわくわくします。
これからも常に雑誌として一番でいてほしいし、それに足る面白い雑誌であり続けてほしいんですよ。自分にとっても人生の一部みたいなものですから。それにまだ僕らも漫画家として引退したわけではなく現役なので、チャンスがあればまたそこでぜひ描いてみたいとも思ってますからね。
もう今から11年ほども前になりますけど、2008年の29周年の時に読切を描かせてもらった時は、やっぱり楽しかったし、嬉しかったですからね。
僕らも18歳でジャンプでデビューしてもう50代半ばになりましたが、まだまだこれからもジャンプで描いてくれって、声をかけられるような漫画家で居続けられるよう頑張り続けますので、ジャンプもまたこれからずうっと、そうして憧れ続けられる雑誌であってほしいと心から願ってます。
またもう1回、ジャンプで描きたいね。
そうやな、頑張ろ(笑)。
――本日は貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、本当にありがとうございました!